室町通に面する深見家は、表の店舗部分と奥の居住部分とを別棟とし、玄関棟でつないだ「オモテヤ造り」の町家で、表のむしこ窓や格子がよく保たれている。蛤御門の変に罹災後再建、座敷部分はさらに明治二十年代に改築されたという。
奥庭に面する座敷には半間の縁が走り、その北側から渡り廊下で離座敷(仏間兼茶室)につづいている。この奥庭は座敷にとっての庭であると同時に、露路の役割もはたしている。
座敷は角柱で長押(なげし)をうちめぐらしている。床は間口約七尺ほどで、匙面を取った床柱を立て、床框(とこがまち)は木地縁としている。
間口の広い床脇には、右の方へ寄せて地袋をもうけ、その上方に少し長く天袋をつくり付けている。
地袋の左端立付に栗ナグりを立てているのも目を惹く。床脇の余日と、ほどよい犬潜りとが、この座敷にゆったりとした風格を加えている。床の上にも長押を付けたのは異色な手法として注目されるが、次の間境の長押と食い違いに床脇の長押が取り付けられている関係から、そうせざるをえなくなったのであろう。
ここでは床脇も内法(うちのり)と同高に無目(むめ:溝のない鴨居)だけを取り付ければ通例の構成にまとめられたはずである。こうしたやや煩雑な構成も、棟梁の苦心の表われである。次の間との境には、踊桐を透かした欄間を取り付け、襖には銀盛上げの千家桐を配しており、格調高い茶趣もただよわせている。
・・・・・・駸々堂出版発行「京の座敷」深見邸より引用 |